利子補給金ってすべて当期収益にしていいの?
2021.03.31
税務
こんにちは。御堂筋税理士法人の才木陽介です。
新型コロナウイルスの影響を受け、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を実行された際、併せて「新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度による利子補給金」の交付申請をされたお会社も多いのではないでしょうか。
そういったお会社に、交付決定額の通知書が届き出しているかと思います。各金融機関によって、形式は異なるかと思いますが、内容としては、「今回の利子補給助成金の交付を決定しましたので、下記の通り通知します。」といった形で交付決定とその金額が記載されております。
では、その利子補給金はいつの収入になるのか?
法人税法22条によると、「ある収入の収益計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度」とされております。ですので、交付決定され権利が確定した交付決定時に全額収入計上する!
としてしまうのは、誤った処理になってしまいます。
この特別利子補給制度は、金融機関から融資を受けることを条件にその融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすること目的として交付されるものです。そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
以上より、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
ですので、交付決定時の実際の経理処理をしては、交付決定時は一旦前受金等として負債の部に計上し、利子支払時に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金として収益の部に振り替えることとなります。
交付決定通知書が届いた際は、上記に留意していただき、経理処理を行ってください。