みなさん、こんにちは!
御堂筋税理士法人の中野です。

今回は、担当しているお客様とのあいだで話題となった「配当等の支払調書にかかる
マイナンバーの記載時期」についてご紹介したいと思います。

まずマイナンバー制度に関して、平成28年1月1日以降の支払に係る法定調書については、支払を受ける側から番号の告知を受け(番号確認及び身元(実存)確認をした上で)、法定調書にその番号を記載することとなっています。

この法定調書とは、従業員の方へ支払う給与に係る「給与所得の源泉徴収票」の他、外交員や税理士等へ支払う報酬などに係る「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」、配当金の支払に係る「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」などがあります。

ここでお客様から「配当等の支払調書を作成しているのですが、税務署へ提出するため、すべての株主の方のマイナンバーを収集しないといけないのでしょうか?社内ならまだしも、社外の方のマイナンバー収集となると少々気が重いです…..」とご質問がありました。

このお客様は非上場のお会社ですが、非上場株式に係る配当についても「配当等の支払調書」にマイナンバーを記載するため、株主から収集が必要となります。しかし一定の条件を満たせばマイナンバーの記載に関して3年間の猶予があることがわかりました。

以下、国税庁のHP
「配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書」や「特定口座年間取引報告書」等の税法に告知義務が規定されている一部の調書のうち、所得税法施行令第336条第2項に規定するいわゆる「みなし告知」の適用がある場合(「税法上告知したものとみなされる取引」)など、金融商品取引業者等において継続的な取引が行われているものについては、個人番号・法人番号の告知について3年間の猶予規定が設けられており、その間告知を受けるまでは、当該個人番号・法人番号について記載をする必要はありません。」
と書いてあります。

一つ目のポイントとなるのは、すべての法定調書について猶予期間があるというわけではないということです。

二つ目のポイントは、「みなし告知」の適用がある場合と書かれています。
ではみなし告知とはなんなのでしょうか。
これに関して所得税法施行令(以下、所令)第336条第2項にかかれていますが、まず所令336条第1項から見ていく必要があります。

所令336条第1項には
「国内において法第224条第1項 (利子、配当等の受領者の告知)に規定する配当等につき支払を受ける者は、その利子等又は配当等につきその支払の確定する日までに、その確定の都度、その者の氏名又は名称及び住所を、その利子等又は配当等の支払をする者の営業所、事務所その他これらに準ずるものでその支払事務の取扱いをするものの長(支払事務取扱者)に告知しなければならない。」(必要な部分だけ抜粋)

とあり、マイナンバー制度導入後は、氏名又は名称及び住所に加え、個人番号も告知する必要があるようです。

そして所令336条第2項には
「利子等又は配当等につき支払を受ける者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その者は、その支払を受ける当該各号に掲げる利子等又は配当等につき前項の規定による告知をしたものとみなす。」

とあり、各号の内、第6号には
「配当等(法第24条第1項に規定する投資信託及び特定受益証券発行信託の収益の分配を除く。)につき支払を受ける者が、当該配当等を生ずべき株式若しくは法人の社員、会員、組合員その他の出資者の持分(株式等)を払込みにより取得した場合又は株式等を購入若しくは相続その他の方法により取得した場合において、当該払込みにより取得をする際又は当該株式等の名義の変更若しくは書換えの請求をする際、その者の氏名又は名称及び住所を、当該株式等に係る配当等の支払事務取扱者に告知しているとき。 当該株式等に係る配当等」
と書かれています。

以上により、非上場株式に係る配当であっても、この6号によって「みなし告知」の適用を受けている場合には、3年間の猶予が適用されるものと考えられます。

そして三つ目のポイントは「継続的な取引が行われていること」というところです。
これは「3年間の猶予」というのが、マイナンバー制度導入前、つまり平成27年12月31日時点での
株主を想定していると考えられます。

要するに、平成28年1月1日以降に株主となった者には3年間猶予の適用はなく、支払の確定する日までに氏名又は名称及び住所、そして個人番号を告知する義務があることになります。

以上のようにマイナンバー記載に関しては、様々な場面で取扱いが違うことがあります。
また個人番号を記載して提出しなければならない書類は、ますます増えてくると思います。

手間や面倒をかけず、スムーズに書類提出をすることができるように、マイナンバー制度に関して覚えておかなければならないと感じました。

以上、御堂筋税理士法人 中野でした。

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